かずデンコラム

MFT(口腔筋機能療法)では何をする?
トレーニング内容や効果を詳しく解説!(MFT基礎編①)

2026年2月6日

子どもの成長は待ってくれません。そのため、お口の正しい使い方(口腔機能)は、できるだけ早い時期に身につけることがとても大切です。

実は、小児の口腔機能でチェックするポイントは、高齢者の口腔機能低下で見るポイントともよく似ています。つまり、子どものうちに正しい機能を獲得することは、生涯にわたる健康につながるということです。

当院が大切にしているのは、歯科医院だけで完結する指導ではなく、ご家庭でも継続して取り組める口腔機能のトレーニングです。口腔機能の改善には、必ず「ご本人のトレーニング」が必要になります。歯科医院で月に1回トレーニングを行うだけでは、残念ながら十分な効果は期待できません。だからこそ、正しい方法を理解したうえで、日常生活の中で継続することが最も重要なのです。

そのため当院では、保護者の方にも内容を理解していただき、ご家庭で正しくできているかを見守っていただく「おうちトレーナー」の役割を大切にしています。

これは、仕上げ磨きを保護者の方が行うのと同じ考え方です。このような考えのもと、当院では口腔機能の改善を目的としたトレーニング指導に力を入れています。

「MFTって何をするの?」「どんなトレーニングをするのか知りたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。MFT(口腔筋機能療法)は、舌や口周りの筋肉を鍛えることで、歯並びの悪化を防いだり、矯正治療の効果を高めたりするトレーニングです。

本記事では、MFTで実際に行うトレーニング内容を中心に、MFTが必要となるケースやメリット・デメリット、費用についても詳しく解説します。お子さまの歯並びが気になる方や、矯正治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

MFT(口腔筋機能療法)とは

MFTとは「Myofunctional Therapy」の略称で、日本語では「口腔筋機能療法」と呼ばれています。舌や唇、頬などの口周りの筋肉を正しく機能させるためのトレーニング法です。

私たちは普段、食べ物を噛んだり飲み込んだり、話をしたりする際に口周りの筋肉を使っています。しかし、舌の位置が悪かったり、口呼吸の癖があったりすると、これらの筋肉がうまく機能せず、歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼすことがあります。

MFTでは、専門的なトレーニングを通じて舌の正しい位置や動かし方を習得し、口周りの筋肉のバランスを整えていきます。矯正歯科での治療と併用されることが多く、矯正治療の効果を高めたり、治療後の後戻りを防いだりする目的で実施されるケースが一般的です。

正しい舌の位置とは

MFTのトレーニングを理解するうえで、まず知っておきたいのが「正しい舌の位置」についてです。

舌の正しい位置は「スポット」と呼ばれる場所にあります。スポットとは、上の前歯の裏側から少し奥に入った、上顎にある小さなふくらみの部分を指します。口を閉じてリラックスしているとき、舌先がこのスポットに軽く触れ、舌全体が上顎に沿って広がっている状態が理想的な舌の位置となります。

この位置に舌があることで、上顎に適度な圧力がかかり、顎の成長や歯並びの形成に良い影響を与えるとされています。

舌が正しい位置にないとどうなるか

舌が正しい位置にない場合、さまざまな問題が生じる可能性があります。

まず、歯並びへの影響が挙げられます。舌が常に前歯を押している状態(舌突出癖)があると、前歯が前方に押し出されて出っ歯になったり、上下の前歯が噛み合わない開咬(オープンバイト)になったりすることがあります。

また、舌が下がった位置にあると口が開きやすくなり、口呼吸の原因にもなります。口呼吸は口腔内の乾燥を招き、虫歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、いびきや睡眠の質の低下にもつながりかねません。

さらに、舌の位置が悪いと発音や滑舌にも影響が出ることがあり、サ行やタ行などの発音が不明瞭になるケースも見られます。

顎や口周りの筋肉のバランスに影響し、顔貌のバランスに関係する可能性も指摘されています

MFTが必要となる4つのケース

MFTはどのような場合に必要となるのでしょうか。代表的なケースを紹介します。

舌突出癖や異常嚥下癖がある場合

舌突出癖とは、飲み込むときや話すとき、あるいは安静時に舌を前に突き出してしまう癖のことです。この癖があると、常に前歯に舌の圧力がかかり、歯並びが乱れる原因となります。

異常嚥下癖は、ものを飲み込む際に舌を前方や側方に突き出してしまう癖を指します。正常な嚥下では舌が上顎に押し付けられますが、異常嚥下癖があるとうまく飲み込めず、むせやすくなることもあります。

指しゃぶりや口呼吸などの悪習癖がある場合

幼少期の指しゃぶりは、長期間続くと歯並びに悪影響を及ぼします。上の前歯が前方に傾いたり、前歯で噛めなくなったりする可能性があるため、MFTで正しい口腔機能を身につけることが推奨されます。

口呼吸の癖がある場合も同様です。口呼吸を続けていると、舌が下がった位置に定着し、上顎の発達が妨げられることがあります。MFTを通じて鼻呼吸の習慣を身につけることで、改善が期待できます。

舌小帯の異常がある場合

舌小帯とは、舌の裏側と口の底をつなぐ膜状の組織です。この舌小帯が短かったり、舌の先端近くまで付着していたりすると、舌の動きが制限されてしまいます。

舌小帯の切除手術を受けた後、舌の動きを改善するためにMFTが行われることがあります。手術だけでは舌の使い方が身についていないため、トレーニングによって正しい動かし方を習得する必要があるのです。

矯正治療を受ける場合

矯正治療と並行してMFTを行うことで、治療効果を高められます。舌癖などの悪習慣があると、矯正装置で歯を動かしても、舌の圧力によって元の位置に戻ってしまう「後戻り」が起きやすくなるためです。

矯正治療前や治療中、治療後にMFTを取り入れることで、より安定した治療結果を得られる可能性が高まります。

MFTで行う具体的なトレーニング内容【基本編①】

ここからは、MFTで実際に行うトレーニングの内容を詳しく解説します。歯科医院によって指導内容は異なりますが、代表的なトレーニング方法を紹介しましょう。

トレーニング器具

唇の閉じる力を鍛えるための歯科矯正トレーニング器具です。

ポカンX

唇で挟んで口を閉じ、舌を上顎につける感覚を養い常時口が開いている悪習癖を改善します。

使用方法はポカンXの溝を上の前歯の間に当て、唇で軽くホールドする(力を入れすぎない)。1日30分程度続けます。慣れてきたら、下部の穴におもり(5円玉など)を付けると負荷がかかるため効果が上がます。

タッチスティック

口にくわえて舌をタッチスティックのスプーン状にのせる事で舌の姿勢位のトレーニングができます。

正常咬合用と切端咬合用があり、かみ合わせの種類に合わせて使用できます。

使用方法はタッチスティックの溝に合わせて上下顎前歯の切端がはまるように軽く咬合します。口唇でタッチスティックをそっとホールドします。

(口唇に力を入れないように)舌の先端をタッチスティックのスプーン部にのせ、舌全体が口蓋に挙上することを意識します。

一日30分以上続けます。

テレビを見ながら、ゲームをしながらなど、楽しい時間に組み込むことで習慣化しやすくなります。

これらをトレーニングと組み合わせて使用することで、口呼吸の改善、正しい舌のポジションの習得、顎の成長促進、歯並びの安定化などを目指します。

ガムトレーニング

舌の正しい「位置」と「機能」を治すための訓練です。

左右の奥歯でガムを交互に噛み咀嚼の機能の向上を図り、ガムを舌の上で丸め、上顎に押し当てることで舌の筋力を鍛え、正しい位置に導きます。

口を閉じたまま噛むことで口呼吸の改善や鼻呼吸の習慣づけを促します。

やり方はガムを前後・左右均等に噛み締めます。舌の上でガムをボール状に丸め、上あごの中央に押し付けて円状に薄く広げ、ごっくんと唾を飲み込みます。この時ガムの形が三角形になれば正しい飲み方であると確認できます。

ボタンプル(ボタントレーニング)

ボタンプルは、唇の筋力を鍛えるトレーニングです。大きめのボタンに糸を通し、唇と歯の間に挟んで引っ張ります。

やり方としては、まずボタンに30㎝ほどの糸を通して輪を作ります。ボタンを唇と前歯の間に入れ、唇をしっかり閉じます。その状態で糸を前方に引っ張り、ボタンが抜けないように唇で押さえる力を使います。

このトレーニングによって口輪筋(口の周りの筋肉)が鍛えられ、口をしっかり閉じる力が身につきます。口呼吸の改善にも効果的です。

スラープアンドスワロー

スラープアンドスワローは、舌を正しい位置に置いたまま飲み込む練習をするトレーニングです。ストローとスプレーボトルの水を使って行います。

まず、舌先をスポットに置き、奥歯でストローを軽く噛みます。スプレーボトルで少量の水を口の中に入れ、舌を上顎に吸い付けた状態で「ズズッ」と音を立てながら水を口の奥に集めます。集めた水を、舌を上顎につけたまま飲み込みます。

このトレーニングによって、正しい嚥下の仕方を習得できます。普段の食事の際にも、舌を正しい位置に置いて飲み込む習慣が身につくでしょう。

MFTに取り組むメリット

MFTにはさまざまなメリットがあります。トレーニングを継続することで得られる効果を見ていきましょう。

矯正治療の効果が高まる

MFTの最も大きなメリットは、矯正治療との相乗効果です。舌癖や悪習癖があると、矯正装置で歯を動かしても後戻りしやすくなります。MFTで口腔機能を改善しておくことで、矯正治療の成果をより安定させることが可能です。

治療期間の短縮につながる場合もあり、矯正治療を検討している方にとっては特にメリットが大きいといえるでしょう。

口呼吸から鼻呼吸への改善が期待できる

MFTを通じて舌の位置が改善されると、自然と口が閉じやすくなり、鼻呼吸の習慣が身につきます。鼻呼吸には、空気中のほこりや細菌をフィルタリングする機能があるため、風邪をひきにくくなるなどの健康上のメリットも期待できます。

口腔内の乾燥も防げるため、虫歯や歯周病、口臭の予防にも効果的です。

発音や滑舌の改善につながる

舌の動きがスムーズになることで、発音や滑舌の改善も期待できます。特にサ行やタ行、ラ行など、舌の位置が重要な発音がクリアになりやすくなるでしょう。

お子さまの場合、言葉の発達にも良い影響を与える可能性があります。

噛み合わせの安定につながる

MFTによって口周りの筋肉バランスが整うと、噛み合わせも安定しやすくなります。舌や唇、頬の筋肉が適切に機能することで、歯列全体に均等な力がかかるようになるためです。

顎関節への負担軽減も期待でき、顎関節症の予防や改善にもつながる場合があります。

顔のバランスが整いやすくなる

口周りの筋肉が適切に機能することで、顔全体のバランスが整いやすくなります。口が常に開いている状態が改善されると、口元の印象も変わってくるでしょう。

表情筋にも良い影響を与えるため、表情が豊かになるというメリットもあります。

知っておきたいデメリットと注意点

MFTには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。

効果が現れるまで時間がかかる

MFTは即効性のある治療法ではありません。長年の癖を改善するためには、継続的なトレーニングが必要です。一般的に、効果を実感できるまでには数か月から1年程度かかることが多いとされています。

毎日コツコツとトレーニングを続ける根気強さが求められます。

矯正治療の代替にはならない

MFTはあくまでもトレーニングであり、歯を直接動かす治療ではありません。すでに歯並びが乱れている場合は、矯正治療が必要となります。

MFTは矯正治療を補助する役割として位置づけられており、単独で歯並びを改善することには限界があります。

継続が難しい場合がある

MFTの効果を得るためには、自宅での毎日のトレーニングが欠かせません。しかし、特にお子さまの場合、モチベーションを維持することが難しいケースもあるでしょう。

保護者の方のサポートや、歯科医院での定期的なチェックを受けながら続けていくことが大切です。

正しいやり方で行わないと効果が出にくい

MFTは正しいフォームで行わなければ、十分な効果が得られません。自己流で行うと、かえって悪い癖がついてしまう可能性もあります。

必ず歯科医院で専門家の指導を受け、正しいやり方を身につけたうえで自宅でのトレーニングに取り組むようにしましょう。

MFTにかかる費用の目安と保険適用について

MFTの費用は歯科医院によって異なりますが、一般的な目安を紹介します。

保険適用について

MFTは基本的に保険適用外の自費診療となります。口腔機能発達不全症などの診断がついた場合でも、実施内容や回数、年齢などの条件によっては保険が適用される場合があります。

保険適用の可否については、かかりつけの歯科医院に確認することをおすすめします。

費用の目安

自費診療の場合、1回のトレーニングにつき3,000円から5,000円程度を目安としている医院が多いようです。通院頻度は月に1回から2回程度で、トレーニング期間は半年から2年ほどかかるケースが多いようです。

矯正治療と併用する場合は、矯正治療費にMFTの費用が含まれていることもあります。総額については、事前に歯科医院で見積もりを取っておくと安心でしょう。

MFTに関するよくある質問(Q&A)

MFTについてよく寄せられる質問にお答えします。

Q.MFTは何歳から始められますか

A.MFTを始める適切な年齢は、一般的に5歳から8歳頃とされています。この時期はトレーニングの指示を理解でき、かつ顎の成長が盛んな時期であるため、効果が出やすいといわれています。

ただし、大人になってからでもMFTは可能です。年齢に関係なく、舌癖の改善や矯正治療のサポートとして取り組むことができます。

Q.自宅でもMFTはできますか

A.基本的なトレーニングは自宅でも行えます。むしろ、歯科医院で習ったトレーニングを毎日自宅で実践することが、MFTの効果を高めるために重要です。

ただし、最初は必ず歯科医院で専門家の指導を受けてください。正しいやり方を身につけてから自宅でのトレーニングを始めることが大切です。

Q.MFTでいびきは改善しますか

A.舌の位置が改善されることで、いびきが軽減されるケースがあります。舌が正しい位置にあると気道が確保されやすくなり、睡眠時の呼吸がスムーズになるためです。

ただし、いびきの原因はさまざまであり、MFTだけで必ず改善するとは限りません。いびきが気になる場合は、専門医への相談も検討してみてください。

ー まとめ ー

MFT(口腔筋機能療法)は、舌や口周りの筋肉を鍛え、正しい口腔機能を身につけるためのトレーニングです。スポットポジションやポッピング、ボタンプル、スラープアンドスワローなど、さまざまなトレーニング方法があり、歯科医院の指導のもとで継続的に取り組むことで効果が期待できます。

MFTには、矯正治療の効果を高める、口呼吸を改善する、発音や滑舌が良くなるなどのメリットがあります。一方で、効果が現れるまでに時間がかかること、継続が必要なことなどを理解しておく必要があるでしょう。

舌癖や口呼吸などの癖が気になる方、矯正治療を検討している方は、まずは歯科医院でMFTについて相談してみてはいかがでしょうか。専門家のアドバイスを受けながら、お子さまやご自身に合ったトレーニングプランを立てることをおすすめします。

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